労働者を特定化学物質から守る役割
工場では労働者の安全を確保することが最優先されますが、その中には特定化学物質からの保護も含まれます。
工場での安全と言えば、足組からの転落や落下物との衝突といった物質的な危険性を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ですが工場では、ほかにもさまざまな危険が潜んでいます。
とくに労働者本人が知らず知らずのうちに健康を害してしまっている恐れがあるのが、化学物質との接触です。
発がん性がある物質と作業現場において長年接し続けた結果、ガンを発症するリスクを抱え込んでしまう、そんな恐ろしいケースも起こりうるわけです。
そうした恐ろしい危険を未然に防ぎ、労働者が化学物質の影響に対して安全な環境で働けるよう環境を整えるのが、「特定化学物質作業主任者」なのです。
こうした化学物質がもたらす影響は、5年、10年、さらに長い期間を経た後に健康への被害として現れることも多く、万一問題が生じた時に因果関係や責任問題を確認するのが難しくなりがちです。
だからこそ、リスクを未然に防ぐ特定化学物質作業主任者の役割がとても大きいのです。
なお「特定化学物質」は有害性の大きさによって第1類~3類に分類されており、これらを取り扱う作業現場では必ず特定化学物質作業主任者を設置することが義務付けられています。
試験の難易度・合格率は?
現場で働く労働者の健康を守る大事な役割を担う資格だけに、取得も大変だろうと感じる方もいらっしゃるかも知れません。
資格を取得するためには「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」という講習を受講したうえで、修了試験に合格する必要があります。
結論から言ってしまうと、合格率は95パーセント以上と言われており、「講習さえ受講すればほぼ確実に取得できる」状況となっています。
ですから、工場で働いた経験がある方できちんと講習を受ければ簡単に取得できる資格と言えます。
実際に講習を受けてみるとわかるのですが、講義の中で講師が試験にでるところを教えてくれます。
「ここは大事な部分だから」と言われたところをチェックし、後で復習しておけばとくに難しさを感じることなく試験をクリアできるでしょう。
資格取得までにかかる時間・期間は?
講習にどれぐらい通う必要があるのかが気になるわけですが、受講期間は2日間で、2日目の最後に修了試験が実施されます。
ごく短期間、2日間受講して講師に言われたところをしっかりチェックしておけば、10人中9人以上は合格できるというわけです。
講義の内容に触れておくと、健康障害やその予防措置に関連した講義が4時間ほど、保護具に関する講義が2時間、作業環境の改善とその方法に関連した講義が4時間、関連した法令に関する講義が2時間、そして最後に1時間の修了試験となっています。
ですから、工場で働く方は「とっておいて損はない」資格と言えるでしょう。
キャリアアップに興味がある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。